検診などの結果、がんの可能性が高いと疑われる場合、さらに精査してその状態を把握します。早い段階で院長が診断を下したなら、当院でできるあらゆる状況を考慮して治療の方向をある程度定めたうえで、飼い主さまとのご相談になります。
がんの治療法としては、犬や猫の場合も基本的には人間同様、①外科的療法=手術、②化学療法=抗がん剤治療、③放射線療法の3大治療がメインとなります。当院では①と②の治療をできる範囲で行います。さらに大がかりな手術や③の放射線治療が必要な場合には、設備の整った二次診療施設(大学附属動物病院など)に依頼することになります。
いずれにしても、がんと診断が下っても、がんの進行度や悪性度、患者の犬や猫の状態や
性格、飼い主さまの治療方針のご希望など、あらゆる要素を考慮して、いくつかの治療の選択肢を提示いたします。早期発見の場合には、完治を目指した積極的な治療をお勧めします。また、ステージⅡ~Ⅲの進行度であれば、可能性に賭けた積極的な治療や、QOL重視の治療などをお選びいただきます。さらに進行した状態であれば体調の維持を重視し、がんとの共存しながら自宅で穏やかに過ごせるようにサポートします。さまざまなケースを扱うなかで、最終的に目指すべきは、入院で時間を浪費することよりも、がんの犬や猫ができるだけ副作用を出さずに、自宅で飼い主さまと一緒にいつも通りに暮らせることだと当院では考えています。家族ともに、いつもと同じような生活が送れるようにサポートすることで患者の免疫力が上がり、寿命が延びる可能性が見込める点を重視しているからです。愛犬・愛猫ががんと診断されたら、飼い主さまは迷ったり悩んだりすることが多いかもしれませんが、決して悲観せずに、私たちと一緒に治療に前向きに臨んでください。ご質問、ご希望があれば、どうぞご遠慮なくお伝えください。ともに道を探していきましょう。