GIST(胃腸管間質細胞腫瘍)が疑われた犬の腹腔内腫瘍 横浜市青葉区 レオどうぶつ病院 腫瘍科
健康診断を行った12歳雌ののシーズー。
腹部のレントゲン検査で下腹部に腫瘤を発見した。
エコー検査では腫瘤は脾臓の尾部に接していたが、明らかに脾臓から連続している所見は認めなかった。
消化管からの発生の可能性もあったが、嘔吐や下痢等の消化器症状は認めなかった。
明らかに切除不能の所見はなく、切除生検を目的に開腹手術を行った。
下腹部正中切開を行うと腹膜直下に腫瘤を認めた。
腫瘤を引き出すと回腸より発生していた。
腫瘤を挟む両端の正常な腸管で切除した。
腸管の切除断端を端々縫合し常法通り閉腹した。
切除した腫瘤は腸管の漿膜面より発生していた。
肉眼上は腫瘤の腸管内腔への突出は認めなかった。
病理組織検査の結果は非上皮性悪性固形腫瘍と診断された。
免疫染色の結果から典型的な所見は認められなかったが
GIST(胃腸管間質細胞腫瘍)の可能性が疑われた。
手術翌日より液体状の消化器疾患用療法食を開始し、退院した。
順調に流動食を食べていたが排便がなく、術後5日目に元気・食欲の廃絶と嘔吐が認められた。
レントゲン検査から明らかな腸閉塞等の所見は認めなかったが、術後合併症である腹膜炎の可能性も疑われた。
その後、黒色の軟便を排出し始めた。徐々に便の色は茶色くなり始め食欲も戻り、術後10日目に抜糸した。
術後5ヶ月現在、食欲旺盛であり、腫瘍の再発や転移に関して経過観察中である。