おしっこの中に結晶が見られることがありますが、結晶が塊となり膀胱結石となることがあります。
結石があると常に残尿感があり、排尿後も絞り出そうとするしぐさが見られることがあります。
また、膀胱炎を引き起こし血尿や頻尿が見られます。
膀胱炎の治療をしても結石が存在していると、何度も慢性の膀胱炎を繰り返します。

今回、膀胱結石が見つかり外科的に結石を摘出したワンちゃん達をシリーズでご紹介します。

チワワ 8歳齢 雄
トイレに何度も行って排尿姿勢を取っていましたがおしっこが出ません。
レントゲンを撮ると膀胱にはおしっこがパンパンに溜まっていました(水色の点内が膀胱)。

尿道には結石が詰まっていました。
途中まで流れたものの、陰茎骨の部分に引っかかり閉塞していたのです(白矢印)。
尿閉(尿路の完全閉塞)により膀胱はパンパンになり(点線内)、このままでは急性の腎不全を発症して命の危険が高まりますので
、緊急の尿閉解除と同時に尿石摘出手術を行いました。

まずは慎重に細い注射針で膀胱を穿刺して尿を排出しました。
結石をこれ以上引き出すことはできないので水圧をかけて膀胱内にいったん押し戻し、膀胱切開術により摘出しました。

術中に取り残しがないかレントゲンで確認すると結石がひとつ残っています。
シュウ酸カルシウムはトゲトゲしているので膀胱粘膜に引っかかり、出にくいのです。
膀胱洗浄をして水圧で結石を排出しました。

取り出した結石はφ2~4㎜と小さなものでしたが、尿道に入り込んで閉塞を起こしたのです。
表面にはトゲトゲしているため尿道や膀胱粘膜を傷つけて刺激します。
後日、結石分析検査の結果、組成はシュウ酸カルシウムでした。

シュウ酸カルシウムは犬の2大尿路結石のひとつで、近年その比率は増加している傾向にあります。
そのリスク要因としては食事や水からのカルシウムやシュウ酸の摂取。水分摂取量が少なく尿が濃いことなどが挙げられます。
カルシウムの含まれたおやつを与えたり、ミネラルウォーターを飲ませることはリスク因子の一つとなりますので注意が必要です。

レオどうぶつ病院