シュウ酸カルシウム結石が尿道につまった犬への尿道洗浄処置 レオどうぶつ病院 青葉区 たちばな台 桜台 桂台 松風台
6歳のトイプードル、去勢済みの男の子が健康診断に来院しました。
健康上、気になることは特にないとのことです。
血液検査では特に異常はありませんでした。
レントゲン検査を行うと、膀胱内にφ1-2㎜大の微細な結石を多数認め、尿道内には同様の微細な結石が詰まっているのを確認しました。超音波検査でも膀胱内に結石の存在を確認できました。
水色点線内が尿の貯留した膀胱。黒矢印が結石。尿道内に小結石が集塊状に詰まっています。
尿道カテーテルを挿入するも、約7cmの所で結石に当たり、それ以上は挿入できませんでした。
超音波ガイド下での経腹壁細針穿刺採尿を行いました。
尿検査では膀胱炎の所見はありませんでしたが、シュウ酸カルシウムの結晶を認めました。
健康診断後に、尿道結石が詰まっていることを報告すると、最近は排尿に時間がかかっているとのことでした。
尿石対応の療法食に変更し、排尿を促す尿石症の治療剤を投薬しました。
その後も排尿状態に改善は認めず、10日後に鎮静麻酔下での尿道洗浄術を行いました。
結石の詰まっている尿道の近位(膀胱側)を外から圧迫し、尿道口から細い管でジェット水流を噴射して砂粒を洗浄しました。
Φ0.5~2.5㎜の小結石を37個排出しました。拡大してみると、表面はギザギザと尖っており、尿道粘膜に引っかかっていたものと思われました。後日、尿石分析検査にてシュウ酸カルシウム結石であることが確認されました。
術後のレントゲン画像では膀胱内と尿道内にまだ結石が残存しているのが確認されました。
その後、引き続き療法食と薬の投薬を継続し、状況により後日、再洗浄を計画しました。
処置から3日後、急に排尿の勢いが増したとのことでした。
処置から3週後の再診時、レントゲン検査にて結石が消失しているのを確認しました。
その後、療法食を継続しながら経過観察中です。
シュウ酸カルシウムはストラバイトと並び、犬の2大尿結石の一つです。食事療法や薬で溶解することはできないため、外科手術による摘出が治療法となります。今回は閉塞していた尿道結石が微細な結石の集合体であったため、水流により流すことができました。結石除去後の再発率は高く、療法食などでの管理と定期的なチェックをお勧めしました。結石の構成成分であるカルシウムを含むようなおやつやミネラルウォーターなどの給与には要注意です。