マイボーム腺腫は高齢犬の眼瞼部に比較的良く発生し、切除により治癒します。小さなマイボーム腺腫でも根の部分を残すと再発してきますので、突出した部分だけでなく根部を含めたくさび状切除を行ったりします。切除した眼瞼の辺縁をぴったり合わせて縫合するとキレイに仕上がります。

眼瞼の1/3を超える大きさの腫瘤になると、切除後にそのまま寄せて合わせると引き連れが生じて、眼の形が変形してしまいますので、眼瞼フラップ形成術を行うことがあります。

12歳のラブラドール・レトリーバー。3年前より左上眼瞼に腫瘤認め、増大とともに自壊や出血をするようになりました。その他、全身の皮膚にも難治性の化膿病変があります。高齢であることから普段は眼軟膏を塗ったりして対処して、増大出血した際には眼瞼突出部分の凝固や結紮処置を行いましたが、いったん突出部が取れても数ヶ月すると再び生えてくるのを繰り返しました。今回はかなり増大し、出血も止まりにくく腫瘤が悪性化している可能性も疑われます。高齢ではありますが手術を検討しました。

左上眼瞼の腫瘤は眼瞼縁周の1/3以上。眼瞼フラップ形成術を計画しました。

上眼瞼をめくると腫瘤の基部は裏側まで入り込んでいますので、表面の切除では取り切れません。

術前に切開予定線をマーキング。

眼瞼の腫瘤を切除し、皮弁(フラップ)を形成し、縫合しました。
上眼瞼の1/3以上切除しましたが、目は小さくならずに済みました。

同時に右肘に増大した皮膚腫瘤を切除しました。
術後の病理検査では、眼瞼腫瘤はマイボーム腺癌(悪性)、肘の腫瘤は血管腫(良性)と診断されました。

術後1ヶ月の様子。出血はなくなり、眼の形も良好です。
先日、13歳の誕生日を迎え、元気に過ごしています。

レオどうぶつ病院