肛門周囲のしこりの増大と出血により手術を行った15歳齢の柴犬
15歳齢、未去勢雄の柴犬。肛門の左上部に発生したしこりが徐々に増大してきました。
高齢の雄犬には肛門周囲腺腫がよく発生します。良性腫瘍ですが、増大すると自壊や出血、感染などが問題となります。
ホルモンの影響で発生しますので、治療にはしこりの切除に加えて去勢手術を行います。
今回は15歳というかなりの高齢犬であるため、麻酔のリスクなどから手術は行わず経過を観察していましたが、徐々に増大し、自壊出血を繰り返しました。対症療法で維持していましたが、何度も気にして舐めかじることで出血し、生活の質が落ちていることと、高齢犬ではあるが元気であることから飼い主さんは手術を希望されました。
自壊したしこりは5cm大に増大していたものの基部はくびれがあり、肛門括約筋との固着は軽度であり、肛門の機能を温存して切除することができました。
同時に去勢手術も素早く行いました。麻酔時間を短く済ませたことで麻酔の覚醒も良好で無事退院できました。
術後の病理検査結果は肛門周囲腺癌でした。両側の精巣も間細胞腫が認められました。
いずれの腫瘍も完全切除することができました。