16歳の雑種犬。右肘にできた座りダコを一週間前から舐めて自壊し出血していると来院しました。

右肘にφ2.6㎝大のしこりがあり、表面は潰瘍状に自壊していました。消毒をして包帯で舐めないようにガードして、抗生剤、消炎鎮痛剤等の内科治療を行いました。高齢なこともあり、オーナーは何とか内科的に維持したいと希望されました。

5日ほど内服を行うと、ひどい下痢になり、抗生剤を休止しました。右ひじのしこりはφ3.1㎝大に増大し、自壊は改善しませんでした。触診上は底部の肘関節部との固着はありません。増大傾向からはただの座りダコではなく悪性腫瘍の可能性もあります。また、内科的には改善せずに悪化傾向にありますので、この先、生活の質がさらに落ちていくことが予想されます。
そこで、高齢ではありますが、外科手術を検討することにしました。
術前の血液検査では明らかな異常は認められませんでした。肺にも転移を疑う所見はありません。
全身麻酔下にて肘の機能障害が出ない範囲でのしこりの除去を行いました。


術後は安静を指示しましたが、肘は動く部分なので創の離開や癒合不全の多い場所です。
肘まで覆う術後衣を作成し、抜糸までの期間を長く持つことで無事に癒合しました。


病理組織検査の結果は汗腺腺癌と診断されました。腫瘍の発生には年齢的な問題と座りダコができる肘への慢性的な刺激が関連しているのかもしれません。

術後2か月の健診では毛も生えてきて傷も分かりにくくなりました。再発は認めず肘の動きも良好です。

レオどうぶつ病院