犬の重度歯周病の治療 粘膜フラップ形成術による口鼻腔瘻の閉鎖
重度の歯周病のヨークシャーテリア。歯根端膿瘍により左眼の下が自壊・排膿し麻酔下での歯牙処置を行うことになりました。
15歳齢で高齢ではありますが、術前の血液検査では炎症に伴う変化の他は大きな異常はありませんでした。
全身麻酔下で歯を精査すると、歯周病のために多くの歯はグラグラと動揺しており、抜歯を行いました。
動揺の少ない歯は歯周ポケットのスケーリングを行い温存しました。
上顎の犬歯の歯根は鼻腔につながっていますので、歯周炎が波及して慢性の鼻炎を起こしていました。
大きく空いた抜歯孔から、奥の鼻腔内に貯留した膿を可能な限り掻き出しました。
犬歯の抜歯孔は大きく、飲食したものが鼻に入ってしまいますので縫合することとしました。
抜歯孔の表面は慢性の歯周炎による感染創であるため、このまま縫い寄せても癒合しません。
表面をデブリードメントして新鮮創としてから口唇粘膜フラップ形成術にて縫合しました。
術後、鼻炎とくしゃみは改善し、眼の下の膿瘍も治癒しました。
近くに寄っても口臭がなくなりました。